皆さん、エステティックはなんという業種かご存じでしょうか。
多くの方は『美容業』だと思うかもしれません。
しかし、法律では『エステティック業』として、独立した業種として認められています。
2020年3月までエステティックは“自由業”として、法律の規制を受けにくい業種でした。
しかしエステが社会に普及し、認知が広まってきたため、“エステティック業”として独立した業種として認められ、同時に様々な法律の規制が深くかかわってくるようになりました。
エステティック業を法律的に説明すると
“施術行為を通じて、人が健康で美しくあることに貢献する業として、手技または化粧品・機器等を用いて、人の皮膚を美化し、体形を調えるなどの指導、または施術をする事業所”
と定義されています。
凄く長い文章になっていますが、簡単に言えば、エステティック業とは『施術によってお客様を美しくする仕事』と言えるでしょう。
エステや脱毛等の美容サロンは、お客様の体に触れる機会が多く、一度だけでなく、長期間何度も店舗に通っていただくことがほとんどかと思います。
他の仕事に比べて、お客様との関係がより密接なものになりやすい職業とも言えます。
しかし医師の様に特定の資格や法律が無いため、エステティック業はお客様とトラブルに発展しやすいという特徴を持ち合わせています。
特に、1カ月以上の長期プランや、5万円以上の高額なプランはトラブルの原因になることが多く、法律での規制が必要となりました。
そして、 こういった契約に対して作られた法律が“特定商品取引法”いわゆる“特商法”です。
エステなどの職業に携わったことがある方なら一度は耳にしたことがある法律ではないでしょうか。
エステティック業は長期的で継続的なサービスが多いですよね。
特商法では“期間が1ヶ月を超え、且つ金額が5万円を超える契約”を規制の線引きとしています。
これを満たさない契約は、逆を言えば規制の対象外です。
しかし、 “期間が1ヶ月を超え、且つ金額が5万円を超える契約”(法律ではこの契約のことを『特定継続的役務』といいます)には多くの義務や規制が発生します。
特に重要な規制は
・書面の交付義務
・各種禁止事項
・クーリングオフ です。
“書面の交付義務”では、お客様に必ず“概要書面”と“契約書”を渡すことを義務付けています。
さらに、書面記載時の文字の大きさや色まで指定があります。
“各種禁止事項”になると、かかる規制は多岐に渡り、幅広くなっていきます。
特にチラシやキャンペーンなどの広告では、表示内容に多くの禁止事項を設けています。
“クーリングオフ”制度の説明や対応も事業者の義務の一つです。
クーリングオフとは一定期間であれば消費者が無条件で契約を解除できるという制度です。
この制度の説明をしなかったり、クーリングオフを申し出たお客様に不適切な対応をとると処罰の対象となります。
などなど、特商法には多くの規制があるのです。
エステティック業と法律は、切っても切れない深い仲であることが分かっていただけたでしょうか。
このように多くの規制がかかってしまうのは、法律には『消費者を守る』という目的がある為です。
世の中には、善良なエステサロンもあれば、悪徳商法で運営するサロンも存在します。
消費者に被害を与える悪徳商法のサロンから消費者を守るために、特商法があるのです。
特商法の存在を軽く見て、知らず知らずのうちに悪徳サロン側になっていることもあるかもしれません。
そんなことにならないようにするために、事業者はしっかりとこの法律を知っておく必要があります。
善良な経営でお客様に喜んでいただけるサロンである為に、特商法を遵守していきましょう。
JACでは、安心・安全なサロン経営をサポートするために、法律セミナーを定期的に開催しております。
また、個別でもご相談承っておりますので、少しでも不安がございましたら、お気軽にお問い合わせください。