一般社団法人 日本エステティック評議会

エステティック機器のメカニズムと効果の違いを解説!

世の中には様々なエステテック機器があります。機器を利用した技術は、ハンドテクニックだけでは出せない効果を発揮するだけでなく、誰にでも同じ効果をもたらすというメリットがあります。
どのような原理で機器の働きが肌に作用するのか、ご存じでしょうか?
今回は種類別に解説していきます。

低周波機器

「低周波機器」は文字のごとく、低い周波数の電磁波を流す施術で、体の表面に近い部分に大きな効果をもたらします。
エステでもよく耳にする「EMS」は低周波機器に分類されます。
200Hz以下、10ⅿAレベル程度の電流を使用し、身体にパッチを貼り付けて、1秒間に1~200回の電流を流して刺激を与えます。
周波数の電流が皮膚の下の神経や筋肉に届くと、ピリピリとした刺激感を感じます。
流れた電磁波によって神経細胞が活性化し、筋肉の収縮運動を連続的に引き起こし筋肉量を増やします。
物理的に筋肉を刺激することで、凝りをほぐすマッサージ効果や、皮膚のたるみなどに対する引き締め効果があります。

微弱電流(マイクロカレント)

低周波治療などに用いられる電流の単位がA(アンペア)であるのに対し、1Aのわずか100万分の1程度のμA(マイクロアンペア)という極めて弱い電流を使用した施術が「マイクロカレント」です。これは生体電流と同じようなレベルのごく弱い電流で、ほとんど刺激を感じません。電流の周波数としては、高周波と低周波の間である中周波の周波帯にあたります。乱れた生体電流を整える効果を持ち、細胞自体の活性作用を望めます。

通常、正常な細胞は細胞膜の中がマイナスで外側がプラスになっています。細胞が傷つくと、その箇所は細胞膜の外の電位がマイナスになってしまい、生体電流のバランスが乱れます。すると、正常な細胞から「損傷電流」というプラスの電流が流れてきて、マイナスになった箇所をプラスの正常な電位に戻します。マイクロカレントでは、この「損傷電流」と同レベルの電流を流すことで、自己回復力を高め、血流を増やし細胞を活性化させるので、肌の引き締めや代謝を改善します。

また肌内部のコラーゲンやエラスチンの生成も促進するので、肌のハリや弾力をもたらします。

高周波機器

一般的に10,000Hz以上の交流を「高周波」といい、体の深部に大きな効果を与えます。
「高周波」は「低周波」と違い、刺激感がほとんどありません。なので電気刺激が苦手な方に向いている施術のひとつと言えます。
さらに低周波との大きな違いは、「温熱効果」があるということ。電子レンジで食べ物が温められるのと同じ原理で、生体内の分子が振動し、プラス分子とマイナス分子が衝突して摩擦熱を発生させます。
エステでは、「ラジオ波」を使用した施術が「高周波機器」に入ります。通常のラジオと同じ周波数28~300ⅯHzの電磁波を使用することからこの名前がつきました。ラジオ波には深い層まで届く「モノポーラ式」、2つの電極を使用して皮膚の浅い部分にアプローチする「バイポーラ式」、電極が3つ以上で皮膚の浅い部分、深い部分両方に対応できる「マルチポーラ式」の3種類があります。ラジオ波を使用すると、体温を約3~5℃上昇させることができ基礎代謝が向上します。さらに熱によってコラーゲンの生成も促すため、痩身効果と同時に美肌効果も得られます。
電磁波が体内に浸透すると、血管を拡張させるので、代謝や血行、リンパの流れを促進させ、全身の痩身効果や体質改善が期待できます。

イオン導入

マイナス(―)やプラス(+)の電気を帯びた水溶性の導入剤を、電気の力で肌の奥に浸透させる施術です。
導入する液がアルカリ性の場合はマイナス(―)を使い、導入する液が酸性の場合はプラス(+)を使います。「ビタミンC」「アミノ酸」「プラセンタ」など、水に溶けイオン化できる(電気を帯びる)美容液を肌に導入する際に利用されています。
例えば、アミノ酸やビタミンC誘導体はマイナスの電気を帯びています。
そこで、マイナスの電極を皮膚にあて、プラスの電極を手に持って電流を流すと、マイナス同士が反発しあい、美容成分が肌のバリアゾーンを突き抜け、肌の奥まで浸透していきます。


磁石のN極とN極、S極とS極といった同じ極同士が反発する特性が電気のマイナス(―)とプラス(+)にもあり、「同じ極同士が反発しあう力を利用している」と考えるとイメージしやすいかもしれません。
通常肌表面には「バリアゾーン」と呼ばれる層があり、外部からの刺激や有害な物質などから肌を守っていますが、同時に肌に有益な成分も侵入ができず、角質表面にとどめてしまいます。
しかしイオン導入を行うと、このバリアゾーンを突き抜けることができるので、より多くの成分を肌に効率よく吸収させることができます。
さらに、マイナスの電気はプラスに帯電した物質を引き付ける力があるので、肌の上でプラスに帯電している古い角質や汚れ、ダニの死骸などを引き付けて吸着するため、導入時の副作用としてクレンジング効果もあります。イオンの原理を利用して美容成分を肌に入れる施術を「イオン導入」、反対に肌表面の汚れを吸着させる施術を「イオン導出」といいます。

電気洗浄

「電気洗浄」はイオン導出の原理で毛穴の汚れを取り除く施術です。類似語として、「エレクトロクレンジング」「ディスインクラーステーション」などがあります。イオン化されたクレンジング液を染み込ませたコットンをプローブに装着し、肌にあて微弱な電流を流します。皮膚の汚れにもプラス(+)とマイナス(―)があるため、プラスの汚れにはマイナスイオン、マイナスの汚れにはプラスイオンを発生させ汚れを吸着させることで毛穴を洗浄します。通常のクレンジングだけでは取り切れない肌の深部の汚れが除去されることにより、肌のくすみがなくなります。また、血行促進効果があるので、施術後は肌のトーンが明るくなり、肌のキメが整って滑らかになります。

エレクトロポレーション

エレクトロポレーションは(電気穿孔法、でんきせんこうほう)電気の力を利用して美容成分を肌の奥に浸透させる施術です。細胞に高い電圧を与えると細胞膜が破壊されて細胞は死滅してしまいますが、細胞膜が破壊される手前のラインの電圧を、極めて短い時間与えると、細胞膜には一時的に穴が開き、その後自動的に修復されます。エレクトロポレーションは、この細胞と電圧の仕組みを利用し、電圧によって一時的に空いた穴に美容成分をいれて浸透させる手法です。

表皮からは浸透しない親水成分やイオン導入では大きすぎて導入できない「ヒアルロン酸」や「コラーゲン」などの高分子の美容成分を肌の奥に浸透させることができます。成分浸透率はイオン導入の20倍ともいわれています。

超音波

1秒間に2万回以上の振動波である20KHz以上の高音を利用した施術で、この音は人の耳には聞こえない領域です。
超音波をあてると、体内の水分子が微細に振動し、摩擦熱が起こります。この温熱効果によって、血行が促進し、代謝が良くなります。
周波数によって肌にもたらす効果が異なり、値が高いほど肌の表面付近に、値が低いほど肌の深くまで振動が伝わります。
皮下脂肪に超音波を当てることで痩身効果をもたらす施術が「キャビテーション施術」です。
キャビテーションの最大のメリットは硬い脂肪をとろとろの柔らかい状態にすること。これにより、体を脂肪燃焼しやすい状態にすることができます。


超音波を皮下脂肪の層に当てると、脂肪細胞内の水分や、細胞外の間質液が激しく揺さぶられ、局所的に圧力が高い部分と低い部分ができますが、圧力が低い部分では液体中に小さな真空の空洞ができます。これを「キャビテーション(空洞現象)」と呼び、再び圧力が高くなってこの空洞が押しつぶされると、衝撃波が発生します。この衝撃波によって脂肪細胞やセルライトの細胞膜が破壊され、脂肪が体液の方へ溢れ出し、混じり合って液化します。乳化状態の脂肪は、マッサージや運動によってリンパ管に流され排出されます。これがキャビテーション施術の仕組みです。
その他、筋肉に超音波があたると、筋肉を収縮させるので、ボディラインやフェイスラインの引き締め効果があります。


また、フェイシャルではクレンジングとしても利用されています。ここでもキャビ―テーションの働きで、乳化し辛い水や油が細かく粉砕して混じり合うので、毛穴にこびりついた汚れなどをきれいに除去してくれます。「スクライバー」はこの働きを利用した毛穴洗浄施術です。
超音波は空気中より液体内の方が良く伝わるため、施術には超音波伝導用のジェルを塗る必要があります。

バキューム(吸引)

真空ポンプによる吸引機能を利用した施術です。英語で「suction(サクション)」とも呼ばれます。ハンドピース内部を真空状態に皮膚を引き上げ、密着させることで、掃除機のように皮膚を吸い込み、圧迫されたリンパ管や血管に隙間を持たせ、リンパや静脈へ老廃物の排泄を促します。吸い上げによる血行促進の効果も期待できます。表面や皮膚だけでなく、結合組織や脂肪組織、血液やリンパ液までを含む皮下構造の部分までしっかりともみほぐし、固まったセルライトを柔らかくします。

皮下脂肪やセルライトに効果的にアプローチできるため、部分痩せに適した施術と言えます。機器によってはローラー付きのものと無いタイプがあり、それぞれアプローチ方法が異なります。
ローラー付きのタイプは脂肪を巻き込んで潰していく手法ですが、ローラーが無いタイプは熱エネルギーとマッサージを併用して脂肪とセルライトを潰していきます。どちらも脂肪をもみほぐすことは同じですが、ローラー付きの方が多少痛みを伴う場合があります。凝り固まった脂肪や筋肉がほぐれることでむくみヤコリなども改善しやすくなります。
フェイシャルでは、ガラスの管を使用し、空気圧で吸引しながら、顔周りのリンパマッサージとして使用されます。皮膚の表層を流れるリンパ液を吸引し、近くのリンパ節にむかって流します。血行を促進し、新陳代謝を改善するので、顔のトーンが上がります。

脂肪冷却

「脂肪冷却」とは、その名の通り脂肪細胞を冷却し、老廃物として排出させる施術方法です。
脂肪細胞は、皮膚や神経、筋肉など他の細胞とは異なり、4℃という比較的高い温度で凍ってしまいます。この凍る温度差の原理を応用し、脂肪だけが凍る温度で皮膚を冷却することによって脂肪細胞のみにアプローチする仕組みです。脂肪冷却マシンのハンドピースには、カップで脂肪を吸引するカップ式と、薄いプレートを固定して冷却するプレート式の2種類があります。カップ式は脂肪の量が多い部位に向いており、プレート式は脂肪の厚さが薄い部分に適しています。


施術する部位を専用の機器で冷却しながら脂肪細胞だけを冷却すると、シャーベットのように結晶化します。その後冷却された脂肪細胞は、2~4カ月ほどかけて老廃物として少しずつ体外に排出されるため、即効性はありませんが脂肪細胞の数を減らせるのでリバウンドしにくいという特徴があります。1回の施術で冷却した部位の約20%の脂肪を減少させることができると言われています。
でも、なぜ効果を実感するまでにこんなに時間がかかるのでしょうか。
それには脂肪冷却後の「細胞死(アポトーシス)」が大きく関係してきます。実は、脂肪冷却後すぐに脂肪細胞がなくなるわけではありません。
まず、脂肪冷却後の2~3日後あたりから脂肪細胞の細胞死(アポトーシス)が始まります。アポトーシスとは、ウイルスに感染した細胞や、がん化した細胞など、人体に不要となった細胞が自ら死滅するというDNAに入ってるプログラムです。凍らせた脂肪細胞がアポトーシスを起こすのは、自然現象なので身体に悪影響はありません。このように徐々にアポトーシスが進んでいき、約2週間ほどで細胞死数がピークを迎え、その後2~4か月かけてマクロファージに取り込まれて消化されます。このようにアポトーシスを起こした細胞が徐々に体外に排出されるため、効果を感じるまでに時間がかかるのです。
また、冷却時の炎症によってコラーゲンが増産されるので、皮下組織が引き締められ、脂肪冷却後も皮膚がたるむことはありません。
脂肪冷却は特定の部位のみを冷却するので、気になる部位のみ施術することで、部分的に痩せることができます。

まとめ

いかがだったでしょうか。今回は代表的なエステティック機器を取り上げました。
呼び名が違っても起こす働きは同じ、というものもありますが、機器の仕組みはそれぞれに異なり、アプローチ法も変わるため、効果の出方にも違いが出ます。どんな機器を使用するかは、サロンの運営に大きく関わってきます。機器の特徴や違いを知り、ご自分のサロンに最も合ったマシンを選びましょう!

JACでは、安全性や機能性を審査し、一定の基準をクリアした商品を認定する認定制度を設けております。
どんなマシンを使えばよいのかわからない、というサロン様は、認定商品をご案内いたしますのでお気軽にお問い合わせください。

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