一般社団法人 日本エステティック評議会

営業中の災害対策、できていますか?

地震や異常気象など、いつ起こるかわからない自然災害。
2024年1月1日に起った能登半島地震で、改めて災害対策の必要性を感じた方も多いのではないでしょうか。
「たった今地震が起きたら、どうすれば良いのか」
サロンで働くスタッフ全員がそれを理解していなければ、有事の際にお客様の安全を守り、的確に動くことはできません。
もう一度、美容サロンがすべき地震対策を見直してみましょう。

防災マニュアルを導入しよう

災害などのトラブルが発生するとパニックに陥り、冷静な判断ができずに迅速な避難ができないばかりか、二次災害を招く恐れもあります。
そう言った事態を防ぐために重要になってくるのが「防災マニュアル」の導入です。
災害発生時における「行動指針」や「役割分担」を予め決めておけば、スタッフが万が一の際にどう動けば良いのかを把握させることができます。

マニュアルの作り方


以下にマニュアル作りのポイントをまとめました。これを参考にぜひご自分のサロンの防災マニュアルを作成してみてください。

①防災マップとハザードマップを入手しよう

防災対策に欠かせないのが「防災マップ」と「ハザードマップ」。
「防災マップ」は避難場所や避難所を示した地図で、「ハザードマップ」は災害種別ごとに地域の危険度を示した被害予測図です。


防災マップでは、災害の種類によって行き先が変わるので、リストを作り、事前に場所と経路を調べておきましょう。

ハザードマップでは、地震、津波、水害、土砂災害など災害の種別ごとに作成されています。ご自身のサロンやスタッフの自宅などの災害リスクを確認し、避難経路や避難場所を決める際に、参考にしましょう。


これらのマップは各自治体が作成しており、役所のHPから簡単に閲覧、印刷できます。最近ではWEB版で提供している地域も増えています。ぜひ積極的に活用してみましょう。

②避難先へのルートをチェック

さきほどのマップを元に災害種別ごとの避難先を決めたら、地図を見ながら避難先までスタッフ全員で実際に歩いてみましょう。
歩きながら、通らない方が良い道、倒壊の危険がある障害物などをチェックし、安全に通れる経路を確認します。


ルート決めのポイントは5つです。
1.複数のルートを用意する
2.危険がある場所は印をつけ、避難ルートから除外する
 (野外の主な危険物:倒壊しやすいブロック塀・自販機・ガラス張りのビル・電信柱・狭い道・川べり等)
3.役立つ施設やエリアにも印をつける
 (役立つ主な施設:防災公園・防災館・コンビニ・薬局等)
4.気づいたことを地図に書き込む
5.スタッフ全員で、チェックした地図を共有する

もしかしたら、足の不自由なお客様や、負傷したスタッフを連れての避難になることも考えられます。
段差が多い道かなど細かい部分もチェックしておくと良いでしょう。
また、海岸沿いの店舗の場合、津波到達前に避難しなくてはいけなくなるため、避難にかかる「時間」も考慮しなくてはいけません。
そういった状況でもできるだけ安全に素早く避難できるルートを確認し、ルートが決まったら、サロンオリジナルの防災マップを作り、スタッフ全員と共有しましょう。

③サロンの設備・空間を検証する

次にするのがサロン内の設備検証です。災害時、どこに隠れるのが安全で、どこが危険かを検証しましょう。

【安全ゾーン】
・転倒や落下物が少ないところ
・閉じ込められる危険がない
・木造物件は2階の方が安全
・柱や壁に囲まれて強度が高い場所
・窓ガラスが無い場所


地震発生時、落下物から頭を守れる場所を確認します。机やベッドの下が良いでしょう。上に屋根が無いテラスや吹き抜けも落下物の危険がない安全ゾーンです。
大事なのは、災害時サロン内にいるスタッフとお客様全員が避難できるだけの十分な空間があるかどうかです。安全ゾーンが少ない場合は、床に家具や什器がなく、天井からの落下物がない安全ゾーンを用意しましょう。


【危険ゾーン】
・固定されていない背の高い家具
・落下する可能性のある設備
・ロッカーや観葉植物も危険


施術ベッドの周りや、シャンプー台まわりなど、上部に棚を設けているサロンが多いですが、地震の際棚の扉が外れたり、中のものが落下してお客様がケガをする恐れがあります。また、天井カセット型のエアコンは大きさにもよりますが、重さ約25~40㎏。地震で落下する可能性があるので危険ゾーンとして認識しましょう。ヘアサロンのカット台の鏡も割れる可能性が高いので、事前に対策が必要です。
転倒しやすい背の高い鏡や棚などは壁に固定したり、窓に飛散防止フィルムを貼るなど事前にできることは今のうちにしておきましょう。
危険ゾーンが確認できたら、災害時すぐに離れられるようにスタッフ全員と共有しておきましょう。

④地域住民との連携体制を整える

大規模な災害時は同時多発火災の発生や道路の通行障害などにより、消防機関による十分な活動ができなくなる恐れがあります。火災などの拡大防止や負傷者の救出救護などにおいて、地域住民と協力した連携活動を積極的に実施することが求められます。
周辺地域の町会や自治会、防災市民組織や他の企業との協定を事前に結ぶことで体制を整えることができます。近隣の町会などで行う防災訓練には積極的に参加し、日ごろから協力体制を作っておくようにしましょう。

⑤役割分担を決める

次に決めるのが役割分担です。災害発生時に迅速な行動がとれるよう、事前に担当と任務を決めておきます。

災害時に負傷してしまう可能性も考え、予め代行者を複数決めておくと良いでしょう。

⑥任務内容を時系列化し、マニュアル化する

役割を決めたら、災害時にどう動くのかを記載した防災マニュアルを作りましょう。

この防災マニュアルは緊急時でも的確な対応が取れる内容であることが大前提です。
その為には、「誰が」「いつ」「何をするか」を明確に記載しておくことが大切です。
また、図や表、写真などを活用して「じっくり読ませないこと」を意識した表現を心掛けましょう。「一目見れば理解・把握が可能な内容」にするのがポイントです。人間が一度に把握できる情報の数の限界は7つと言われています。そこで、項目を大別する際には7つまでにまとめるとより分かりやすくすることができます。
また、予め電気・水道・ガスのライフラインの窓口や管轄の消防署などの連絡先をマニュアルに記載しておくと良いでしょう。
作成したら、バックヤードなどスタッフの目につきやすい場所に掲示し、日ごろからすぐに確認できるようにして備えましょう。

さらに、このタイミングで、スタッフ全員と防災アプリをスマホにインストールしておくのも忘れずに。最新状況を素早く入手できれば、命を守る行動に役立ちます。とくにオフラインでも使える地図機能は必須で入れておきましょう。特徴の違う防災アプリを複数入れておくとさらに安心です。

⑦役割毎にミーティングをする

役割を決めたからといっても、すぐに行動に移せるわけではありません。各担当別にミーティングを行い、有事の際スムーズに行動するために必要な知識を学んだり、使用するツールを選別したりして事前準備をしましょう。
以下に役割別にミーティングで確認すべき事項をまとめました。

【リーダー】
災害の種類や程度によって避難方法や避難先が変わります。すぐに的確な判断を下すためには、判断基準を知っておかなければいけません。また、日ごろから防災に関する情報収集も積極的に行いましょう。


【情報連絡班】
・正確な情報収集手段の選別・確保
・携帯電話以外の通信手段の確保(ラジオ等)
災害発生時は通信障害が起こることが見込まれます。ラジオやEメールなど、電話以外の通信手段も確保しておきましょう。SNSでも様々な情報が飛び交いますが、誤報やデマも多いため、正確な情報ソースを予め選別しておくことが重要です。


救護班】
・応急処置方法を知る(切り傷/擦り傷/捻挫/脱臼/骨折等)
看護備品を備える(薬・絆創膏・包帯・はさみ・ピンセット・ゴム手袋等)

【消火班】
・消火器の場所・使用方法の確認
応急処置や消火活動は、定期的に実践型のトレーニングを行いましょう。


【安全防護班】
・非常用持ち出し品の準備
・重要書類やデータの保全
・貴重品の管理方法
・ガス・水の元栓の場所・開け方・閉め方
・ガス漏れ/水漏れへの応急処置方法を知る
業務継続の為、緊急時持ち出しが必要な重要書類に関して、方法や場所の確認を行いましょう。
一般的には、契約書や預貯金関係の書類、印鑑類、金庫保管手形・小切手・有価証券等が該当します。
契約書などの重要書類を紙で管理している場合、持ち出しが難しくなります。データ保存に切り替える、重要書類はコピーをとり店舗とは別の場所に保管しておく、耐火性の金庫などに保管しておく、などの方法をとっておくと安心です。また、災害発生後、お客様のお荷物はすぐにお渡しできるよう、荷物置き場を見直したり、貴重品の管理方法などサロン管理の体制を整えておきましょう。

【避難誘導班】
・避難経路の確保
防火扉の付近にものが置かれていないかなど、店舗内の避難経路の確保をしましょう。ビルに入っているサロンの場合、緊急避難口の場所や数も確認しておきましょう。
ドアの開閉に暗証番号やキーカードが必要なケースもありますので、事前の確認が必要です。

防災訓練を実施しよう

災害を想定した実地訓練を行うと、緊急時の行動を把握でき、機能していない部分や、見落としていた点など、改善点や課題などの発見にもつながります。
お客様の施術中に震災が起きた場合など、仮の災害発生のシチュエーションを決めて訓練スケジュールを組みましょう。

1.地震発生!


【全員】まず頭を守る行動をとります。クッションや雑誌でお客様と自分の頭をカバーし、姿勢を低くし、ベッドや机の下など事前に決めた「安全ゾーン」に誘導・避難します。エステや脱毛中の場合、ボディーローションを使用していたりすると、滑りやすくなりますので気を付けて避難していただきましょう。
揺れている間は机やベッドの足を掴んで身の安全を守ります。手すりなど掴むものがない場合は、四つん這いの姿勢になりましょう。座ってしまうと安定がなくなり、転倒する可能性があるので、完全には座らないようにしましょう。


2.初動対応


避難誘導係
地震で建物がゆがみ閉じ込められることがないよう、揺れが収まったらドアを開けて出口を確保します。避難経路に落下物などの危険物がないかを確認します。
安全防護班
使用中の美容マシンやその他の電気機器の電源を切り、コンセントからプラグを抜きます。加えて電気のブレーカーを切り、ガスと水の元栓を閉め、二次被害対策を行います。
【消火班】
火災が発生した場合はすぐに通報。その後「火事だ!」と大声で叫び、隣近所に協力を求め、消火器を使用し初期消火活動を行います。炎が自分の身長を超えて延焼している時、消火は困難です。すぐに避難しましょう。


【情報連絡班】
店舗内外の被害状況・安否確認を行い、負傷者や火災が出た場合はリーダーに報告します。さらに事前に決めていたツールで災害の情報をチェック。津波の可能性や余震の情報をリーダーに報告します。
火災や負傷者が発生したが電話が使用できない場合は、近くの消防署に直接かけつけて知らせます。
リーダー
被害状況に応じて、各班に指示を出し、避難すべきかどうかを判断します。役場から避難指示や勧告が出たら直ちに避難指示を出しましょう。ただし、目に見えて危険が迫っていると判断できる場合は、役場からの指示を待たず、ためらうことなく避難してください。
救護班
避難路の安全を確保後、建物の倒壊や落下物によって救出を必要とする救助者の救出活動を行います。ガラスや落下物による創傷や骨折、やけどなどの負傷者の応急手当をしましょう。重症の場合は医療機関への搬送を手配します。事故と同時に火災が発生した場合は、原則として火勢を押さえてから救出活動にあたりましょう。
安全防護班
店舗の重要書類やデータを保全したのち、非常用持ち出し品を準備します。すぐに避難できるよう、お客様からお預かりしている貴重品をお渡ししましょう。

3.美容の応急処置


【施術者】
建物内にいても危険が低そうな場合は、施術中のお客様に応急処置を行います。
脱毛サロンや痩身エステなどは、ローションなどを拭き取り、着替えて頂きましょう。すぐに避難を要するなど緊急の場合は、バスローブなど簡単に着られるものをお渡しし、スリッパなどを履いて頂きます。こういった事態に備え、施術室内にお客様用のヘルメットやガラスを踏んでもケガをしないゴム靴などを事前に用意できていると良いでしょう。
ヘアサロンやネイルサロンなどは薬剤中和の処置をしましょう。

4.避難先へ移動


避難先へ向かうことになったら、素早く行動します。


避難誘導係
店内の移動経路に危険物がないかを確認・確保し、事前準備しておいた防災マップや防災アプリで避難先・避難経路を確認。お客様に声掛けし、スタッフとともに避難先まで誘導します。拡声器やメガホンがあれば活用しましょう。店内全員の退店を確認したら、空き巣や火災の延焼を防ぐため、できる限り戸締りをしてから避難しましょう。窓ガラスが割れている場合には、できれば棚などでふさいだり、板を打ち付けておくと、空き巣が侵入する際に手間がかかるので狙われるリスクを下げられる可能性があります。避難は原則として、徒歩で行います。ビル内にサロンがある場合は、エレベーターは使用せず階段で移動しましょう。また、津波などで一刻も早い避難が求められるときは、お客様や自身の荷物は持たずに速やかに避難しましょう。
火災の場合は煙を吸わないよう鼻・口をタオルやハンカチで覆い、低い姿勢で移動します。

5.安否確認

避難場所に到着したら、周囲の様子を確認しながら、情報収集と安否確認を行いましょう。

【安全防護班】
携帯電話のバッテリー等を用意し、自家用発電機等を稼働させ、安否確認に用いる設備等の電力を確保します。交通機関の復旧状態や幹線道路等の混雑状況などを情報連絡班と協力して確認・把握し、リーダーに随時報告しましょう。
【情報連絡班】
安全な場所への避難が済み、状況が落ち着いたら家族や出勤していないスタッフの安否確認をします。
事前に定めた確認ツールを使用し、迅速かつ効率的に安否確認を行いましょう。災害発生直後は電話やメールが通じにくくなります。伝言ダイヤルや安否確認サイトを使用すると良いでしょう。
外出や欠勤スタッフの安否確認は、緊急連絡簿などを活用し、確実にリーダーに報告します。
また、御予約されていたお客様にも連絡を取り、安否確認や安全な場所への避難誘導をしましょう。

6.待機・安全な帰宅


【リーダー】
災害時は一斉帰宅の抑制を図る計画に基づき、「むやみに移動を開始しない」ことが重要です。リーダーはスタッフやお客様を落ち着かせ、状況が落ち着くまでしっかりと待機させましょう。情報連絡班からの報告をもとに、安全に帰宅できるようになった場合は時差退社を実施します。建物の安全性が確保できない場合は、一時滞在施設や避難所へ誘導しましょう。
また、日没までに帰宅できないと判断した人も、避難所に留まり、翌日以降安全に帰宅させましょう。
【安全防護班】
長時間避難所での待機となった場合は、非常用物品を避難者に配布します。

最後に

営業中に地震が起きた場合、お客様をどう誘導するのか、やりかけの施術はどうしたらいいのか、それをすぐに判断できる人はほとんどいません。事前の心構えや準備が、有事の際の行動に大きく関わり、ひいてはスタッフやお客様の命を守ることにつながります。
防災対策は「チームワーク」が非常に大切です。
年に1度は防災訓練を行い、ミーティングなどを通じてスタッフ全員で災害対策について話し合い、サロンの結束力を高め、より安全なサロン運営を目指しましょう。


JAC

一般社団法人 日本エステティック評議会

〒162-0805 東京都新宿区矢来町114
E-MAIL: info@jac-web.org ご不明な点はお電話でお気軽にお問い合わせ下さい(平日 9:30〜18:30)

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