一般社団法人 日本エステティック評議会

エナジードリンクと栄養ドリンク

エステティックサロンはお客様との距離も近く、気を遣わなければいけない職業です。労働形態でみると、不定休のシフト制で働く方が、ほとんではないでしょうか。繫忙期であれば6連勤といったことも少なくないでしょうそんな疲れた体に気合を入れる為に、よく飲まれているのがエナジードリンク?です。
皆さんは普段どのくらいエナジードリンクを飲みますか?
疲れていると、ついつい手が伸びてしまう?という人が多いそうです。

一方、“エナジードリンクを飲みすぎると死ぬ”、“エナジードリンクは歯を溶かす”など、健康被害をもたらすという風説を、時たま耳にすることがあります。実際、エナジードリンクは私たちの体にどんな影響を与えるのでしょうか。今回は、エナジードリンクの作用について見ていきたいと思います。

疲れたときに飲むものって?

日本には、栄養補給や気分向上を目的とした飲料として、“エナジードリンク”がありますが、同じようなものに“栄養ドリンク”があります。
皆様は、この2つの違いをご存じでしょうか。
聞いただけでは、どちらも同じように感じますが、両者は全く異なったものです。
エナジードリンクとは、“砂糖入り飲料(清涼飲料水)”のことです。“栄養ドリンク”は“医薬品又は医薬部外品”のことを言います。この2つはいったい何が違うのでしょうか。

“栄養ドリンク”と“エナジードリンク”

1つ目の違い成分です。簡単に言うと、栄養ドリンクには“タウリン”という、細胞を正常な状態に保つ成分が入っています。さらに、この“タウリン”には胆汁酸の分泌を促進して、肝臓の働きを促したり、肝細胞の再生を促進する効果があります。タウリンは人体に大きな影響を与える成分です。そういった成分は、薬事法によりその扱いに規制がかけられており、有効な成分が配合されたものを”医薬品又は医薬部外品”と分類し、食品と差別化を図っています。
一方、エナジードリンクは“タウリン”が配合されていませんので、食品に分類されています。エナジードリンクには、タウリンの代用成分として“アルギニン”が配合されています。アルギニンは人体に与える影響が少ない為、医薬品又は医薬部外品の対象には入りません。
タウリンが持つ影響力には劣りますが、“アルギニン”には血流の改善や成長ホルモンの分泌を促すという作用があります。
タウリンとアルギニンは、それぞれの効能が全く異なっている為、“代用された”とする点においては諸説あり、真意は不明です。

2つ目の違い販売ターゲットです。
栄養ドリンクは栄養補給が必要幅広い年齢層が対象となります。また、容器もジュース類などとは違って「瓶」が使用されます。
その一方で、エナジードリンクは、仕事でもうひと踏ん張りしたい時などに飲むと良い、とされており、容器は缶のものが多く、デザインや色使いも若者向け?の派手なものが多いようです。

3つ目の違い表示義務です。
栄養ドリンクは、薬事法により”医薬又は医薬部外品”として、一定の効能を認められています。”効果がある”と宣伝できる反面、多くの義務も発生します。表示方法に関しては、配合成分の配合量の記載が義務付けられています。
それに対して、エナジードリンクはその義務がありません。そのため、ビタミンをごく微量だけ配合したとしても、配合成分として表記することができます。
“栄養補給”や“滋養強壮”を目的とするならば、 “栄養ドリンク”が良いでしょう。
エナジードリンクも、ロイヤルゼリーやビタミンなどの栄養成分を含んでいますが、微量であるため、“栄養補給”とは言えません。
しかし、エナジードリンクは、主成分である炭酸のシュワシュワ?した感じや、カフェインや砂糖の覚醒作用?などにより、 “元気が出る感覚”や“爽快感”を味わうことができます。その為、リフレッシュしたいときや、気分を向上させたい時に飲むなら、エナジードリンクが向いていると言えそうです。

ここまでで、栄養ドリンクとエナジードリンクの違いが分かりました。
どちらも、人体に対しそこまで悪い影響があるようには思えません。
では、なぜエナジードリンクだけ、健康被害をもたらすという風説が語られるようになったのでしょうか。

エナジードリンクの主成分と効果

エナジードリンクには、主にカフェインと砂糖が配合されています。ノンカロリーの場合は砂糖の代わりに人工甘味料が使われます。
エナジードリンクの主体をなすカフェインと砂糖。適量の摂取であればなんら危険はありません。しかし、これらの成分を多量に摂取した場合に起こりうる影響が原因となっているようです。詳しく見てみましょう。

まず、重要な成分として挙げられるのがカフェインです。
カフェイン中毒”という言葉はよく聞きますよね。具体的な作用は知らずとも、たくさん飲むと体に悪いというイメージはあると思います。

カフェインが体に入ると、一時的に体温が上昇します。それにより、眠気を冷ましたり、集中力が向上したりするほか、利尿作用等の効果があります。しかし、中毒になると、心拍数の増加や血圧の上昇が毎日のように続き、性的に興奮状態となります。さらに、カフェインには鉄分やミネラルの吸収を阻害する性質があるため、慢性的に摂取すると貧血になりやすくなってしまいます。

次に砂糖です。糖分は、体内に摂取されると、急激に血糖値を上げ、大量のアドレナリンを分泌することで、身体に“元気が出た”と錯覚させます。しかし、すぐに血糖値を下げる機能が働くため、糖分による作用はごく短時間しか続きません。効果が切れると、急激なけだるさと眠さが襲ってきます。この急激な血糖値の変動は、血管の劣化等を引き起こす為、身体にとって大きな負担になります。また、砂糖は“マイルドドラッグ”とも呼ばれているほど、依存性が高い麻薬のようなものです。スイーツや甘味飲料などには多量の砂糖が含まれていますし、様々な食品に甘みをつける為に使われており、ついつい余分に摂取しやすい成分です。

ではノンカロリーはどうでしょうか。先ほども述べたように、ノンカロリーのものには、人工甘味料が入っています。人工甘味料にもいろいろ種類がありますが、これも大量に摂取すると、やはり体に悪影響が及ぶようです。
過剰摂取はうつ病・腎機能低下・脳卒中・心筋梗塞のリスク上昇に繋がります。
エナジードリンクには、風説に聞いたような『歯が溶ける』といった作用はありませんでしたが、エナジードリンクを多量に飲みすぎてしまうと、内臓疾患を中心とした影響があると言えそうです。

欧米では、エナジードリンクの過剰摂取が原因で救急外来を受診する患者数は、年々増加傾向にあります。実際に、カフェイン中毒で亡くなったという事故も起きています。
エナジードリンクは、手軽にエネルギーチャージできるのが魅力ですが、依存性があることを覚えておく必要がありそうです。エナジードリンク単体では、その作用は微量で短時間ですが、過剰な摂取は、控えたほうがよさそうです。エナジードリンクだけではなく、その原因となっている“カフェイン”と”砂糖”が含まれている飲料には注意が必要です。市販のペットボトル飲料もこれに含まれます。手軽に購入できますが、身体に対する作用をしっかりと理解した上で、適量を美味しく飲むことをお勧めします。

体調が万全でないと、肌の透明感がなくなったり、肌荒れになる場合もあります。
美容のプロとして、上手にパワーチャージをしながら、食事や睡眠の改善によって健康的に美しさを保つことが大切です。安全・安心なサロンであるために、そして自分も美しく健康であるために、エナジードリンクと正しく付き合っていけたらいいですね。
JACでは、サロン経営のサポート事業の一環として、サロンスタッフの体調管理についてもご相談を受け付けております。お気軽にご連絡ください。

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