一般社団法人 日本エステティック評議会

子供の脱毛と留意点

災害級の暑さが続き薄着になる機会も増えるこの夏。SNS上では、脱毛サロンがお子様向けの脱毛を勧めているのに目がとまります。サロンによっては3歳から受けられる子供向け脱毛ですが、実際にはもう少し成長をしてからのほうが効き目が出ることがはっきりとわかるようです。

今日は、巷で人気の子供向けの脱毛について考えてみたいと思います。

なぜ子供向け脱毛が増えたのか

まず、なぜ子供向け脱毛の市場が成立したかを考えてみたいと思います。一番の理由は、脱毛市場も成熟してきて、今の親は自分で脱毛を検討したことがある世代だということではないでしょうか。自分の子供がプールの授業などで体毛を周囲に見せるのが抵抗があり、どうしても人に見せるのをいやがるならば子供の脱毛は考えてみる余地はあるという考え方が生まれているようです。

また、剃刀を使ってのセルフシュエービングは子供が自分で行う場合、肌を傷つけてしまう可能性が高く、自分でやってほしくない考える親も多いようです。さらに塗るタイプの除毛クリームは子供の肌には強すぎて肌トラブルになる心配があります。肌に一生残る傷や跡をつけるくらいなら、怪我のリスクが低い脱毛を選ぶこともまた子供向けの脱毛が成立している一つの理由なのではないでしょうか。

子供向け脱毛の注意点

 サロンとしてまず気を付けなくてはいけないのは、子供が脱毛する場合、親権者の同意書が必要になるところです。また、同意書だけでなく親の同伴も必要にしているサロンが多いですが、契約のときに必要な情報はあらかじめアナウンスをしましょう。サロンによっては公式サイトで同意書をダウンロードして印刷し、事前に記入を求める場合や、無料カウンセリング時に判子などの準備を必要としている例も有ります。契約時の手間を省くためにも事前に準備してから来てもらうのがいいかもしれません。

 もう一つ、子供特有の注意点は「日焼け」です。脱毛では過度な日焼け肌の施術は禁忌となっています。蓄熱式脱毛のSHR脱毛はある程度なら日焼け肌でも施術可能ですが、IPL脱毛といった光をメラニン色素に作用させて毛根にダメージを与え脱毛を促す機械は、しっかりと日焼けした肌の場合、光が過剰に反応して火傷に繋がる可能性があります。子供は体育の授業や外遊びなど、日焼け止めも塗らず外に出る機会が多いために注意が必要です。日焼け具合によっては施術を断らなくてはいけない可能性があるため、事前にヒアリングを行いましょう。また、通っている間に子供がだんだんと日焼けをしてきた場合は、どれぐらいの肌の色になると施術ができないかを事前にきちんと伝えることも重要です。

 さらに、子供向け脱毛の危険ポイントとしては、肌トラブルの原因になるという点も見逃せません。子供の肌は大人の肌よりも繊細です。外部の刺激から肌を守る役割を持つ角層の厚みは大人でも約0.01~0.03mmと薄いのですが、子供だとさらにその半分~3分の1くらいしかありません。また角層の表面は通常乾燥や刺激から保護するため、皮脂で覆われていますが、子供の場合は皮脂の分泌量がそれぞれ変化します。特に生後1歳から6歳までの期間は皮脂の分泌量が生涯で最も少ない時期に当たり、この時期の子供の皮膚は非常に乾燥しやすいという特徴があります。乾燥肌で皮膚の水分が少ない分、施術後にかゆみがでたり、施術による毛嚢炎や火傷のリスクも大人より高くなります。そのため、照射レベルを弱くしたり、痛みに敏感なので肌を冷やしながら施術する必要があります。このリスクは必ず保護者の方に理解してもらい、ホームケアでの協力を求めましょう。サロンで子供用のケア用品を販売する際も、肌に優しいアイテムを選び、保湿を習慣づけてもらいましょう。

子供向け脱毛のメニュー

 日本の法律には脱毛の開始年齢に関する規約はありません。しかし、大人よりもデメリット・リスクが高いと考えられるため、独自で年齢制限を設けているサロンがほとんどです。新しく子供用の脱毛をはじめようと考えているサロン様は、子供の体毛のしくみや脱毛によるデメリットやリスクを理解したうえで、年齢制限・メニュー、価格設定を決める必要があります。

 特に、第二次性徴についてはよく理解をしておかなければいけません。第二次性徴とは、思春期になって現れる身体の変化のことを言います。一般的には男児では11~16歳ごろ、女児では10~15歳ごろに起こるといわれています。この年代になると、体内では性ホルモンの影響を受け、それまで産毛だった毛が次第に太く濃くなり、見た目にも目立つようになります。実は、第二次性徴期を迎えるまでは、発育途中の身体のヘアサイクルは不安定で、ヘアサイクルに合わせて効率的に脱毛を行う光脱毛は100%その力を発揮できません。折角、光脱毛で毛包や周辺組織にダメージを与えても、成長ホルモンの働きによって細胞の修復が活発に行われるため、短期間でまた毛が生えてきてしまう可能性があります。

また、この時期に活発に分泌される性ホルモンが毛の成長を促進させるので、第二次性徴期はより脱毛効果を実感しづらい傾向があります。特にVIOなどは性ホルモンの影響を多く受ける部位なので、人によっては全く効果が出ない可能性もあり、子供向けの脱毛では取り扱わないサロンもあります。

さらに、前述の通り子供の肌は敏感なので弱いレベルでの照射を行うため、成人の脱毛より脱毛期間を長期で設定する必要があります。

 つまり、第二次性徴期における脱毛施術は『脱毛』というよりは一時の『減耗』程度にしかならず、さらに長期化により費用が高くつくことも少なくありません。こうしたキッズ脱毛のデメリットを子供本人と保護者にキチンと説明する必要があります。

価格設定と年齢ごとの脱毛の役割

 では、すでに子供向け脱毛を始めているサロンは実際にいくつから子供向け脱毛を受け付けているのでしょうか。傾向としては7歳、もしくは10歳からを対象年齢としているところが多く、中には3歳からを対象にしているサロンや15歳以下(中学生以下)を「子供向け脱毛」の対象にしているサロンもあります。それぞれの年齢設定の理由は下記の通りです。
・3歳:ムダ毛の発毛予防のため
・7歳:施術者の指示を理解し、行動が自制できるようになるころだから
・10歳:第二次性徴期でムダ毛が気になりだす時期だから
・~15歳:生理周期が落ち着きホルモンバランスが安定する時期だから

このように年齢設定やその理由は、サロンの方針によって様々であると言えます。

では価格設定はどうなっているでしょうか。
現在子供向けの光脱毛を行っているサロンは、水泳や体操・バレエなど習い事でムダ毛を気にして来店するケースが多いことから、全身脱毛よりも脚や脇といった部分脱毛をメインに行っている場合が目立ちます。光脱毛サロンの相場は13~15万円ですが、部分脱毛にすると、一回当たりの相場は3000円~2万円とサロンによってバラバラになります。

現行の規制がない今、年齢設定・価格設定は他のサービスに比べ、サロン側の自由度の幅が広いと言えます。一方でサロン側が責任をもって自主的にルールを決め安全性を確保することが求められているともいえるでしょう。

急増する子供向け脱毛

 以上の通り、子供向け脱毛にはいまだいくつものリスクが伴いますが、マシンの機能性の進化により、痛みが少なく安価に提供しやすくなったこともあり、年々子供向け脱毛の需要は伸び続けており、その割合は10年間で約55倍にまでなったとする情報もあります。


まだ子供向け脱毛を始めていないサロン様は、新規客の間口を広げるという意味でも、この機会に検討してみても良いでしょう。
子供向け脱毛を始めるにあたり、火傷や不意の事故が増えることも考えられます。そういった場合は事前にサロン向けの賠償責任保険に入っておくと安心です。JACでは、施術はもちろん、施術以外の理由でお客様に怪我をさせてしまったときなどにも対応できるJACサロン賠償責任保険をご用意しています。子供の来店も増えるこの季節、一考してみてはいかがでしょうか。

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