寒い日が続き、秋も真っただ中です。急激な温度変化によって荒れるのは天気だけではありません。人の肌も季節の変わり目は荒れやすいものです。暑い夏が終わり、秋に移り変わるこの季節、特に気を付けたいのは『秋枯れ肌』。夏にため込んだ紫外線のダメージが一番出やすくなっているから、気がつくと『秋枯れ肌』になってしまっているケースが増えています。
秋枯れ肌とはどういうものなのか、そして、そうならない為の予防法を知って、お客様のお肌を美しく保ちましょう。
夏の間、強い紫外線を浴びることで、肌の奥ではシミの予備軍ができています。肌内部のメラニンが増えると、角質がたまりやすくなるため、秋になる頃には、ターンオーバーの乱れが起こりやすく、敏感で不安定な肌になります。揺らぎやすい状態のまま、ケアを怠ってしまうと、症状が悪化して肌トラブルを引き起こします。これが、秋枯れ肌と言われるこの時期特有の肌環境です。
では秋枯れ肌にならない為にはどうすればいいのか、詳しく見ていきましょう。
秋になり外気が涼しくなると、紫外線の量は夏に比べて6割から8割ほどにぐっと減ります。その中でもUV-Bと呼ばれる紫外線は、5分の1ほどの量まで減ると言われています。UV-Bは肌の表面で吸収されると、肌が赤くなったり皮膚がんの原因となる有害な紫外線です。一方、UV-Aと呼ばれる紫外線は、季節が変わっても降り注ぐ紫外線量に変動がほとんどありません。UV-AはUV-Bに比べ、波長が長く、肌の奥の真皮まで届くため、肌の老化、シミ、しわ、たるみの原因となる有害な紫外線です。紫外線量が減るからと言っても、UV-Aによる紫外線によって、夏と変わらず肌に負担がかかっていることを軽視してはいけません。
また、秋の紫外線は“360度紫外線”とも呼ばれています。というのも、夏の太陽は、基本的に高度が高いため、頭皮を中心に降り注ぎます。しかし、秋になると太陽の高度が低くなり、夏よりも傾く為、日が斜めに差し、顔全体から首にかけて広範囲でダメージを受けやすくなるからです。ジリジリする日差しや熱さが和らいでも、紫外線がなくなったわけではありませんので、秋も紫外線を避けるUVケアが必要になります。日傘や日焼け止めで、紫外線から肌を守るようにしましょう。
季節の変わり目になると肌はとてもデリケートな状態になります。昼と夜の気温差や、寒暖差によって、交感神経や副交感神経の切り替えが難しくなり、肌状態が非常に不安定になるためです。秋になると、いつも使っているスキンケア化粧品が何だか肌に合わなくなる、という方も少なくありません。季節の変わり目で肌トラブルになりやすい方には、スキンケアは低刺激のものを選ぶと良いでしょう。香料やアルコールの入っていないタイプなら肌への負担は少ないので安心して使えます。“敏感肌用”の基礎化粧品は、今の季節には向いていると言えます。上手に使い分けることで、肌を刺激から守り、肌環境のベースを整えましょう。
女性の1番の悩みともいわれるシミは、この乾燥が気になる秋冬の対策も必要です。肌の乾燥は、慢性的に続くと、肌のキメまで乱れさせ、乾燥刺激によってメラニンを作り出すメラノサイトを活性化させます。さらに肌の潤いが減少すると、肌は自分を守ろうと皮脂を過剰に分泌してしまい、テカリやにきびを引き起こします。乾燥が原因で肌トラブルを引き起こしている場合は、乾燥対策として、セラミドやヒアルロン酸の多く配合された保湿効果の高いクリームで肌のバリア機能をアップさせ、マッサージクリームで血行促進を促し、ターンオーバーを整えることで、肌を乾燥から守りましょう。
夏に引き続き、美白ケアもこの季節は欠かせません。秋の美白ケアを怠ってしまうと、夏の間美白ケアでしっかり抑制できていたメラニン生成が制御できなくなり、シミにとって都合のいい環境を与えてしまいます。そうならないためにも、メラニンの生成を抑え、色素沈着を防止する効果のあるビタミンCや、トラネキサム酸やアルブチン等を多く含む美白化粧品でスキンケアをしましょう。秋冬にかけてしっかりと美白ケアを継続することで、メラニンによる色素沈着から肌を守りましょう。
スキンケアの基本はクレンジングと洗顔です。正しい洗顔方法で洗えているのかも、大事なポイントのひとつです。乾燥によるテカリや、肌についた花粉が気になって、ごしごしと洗ってしまいがちですが、逆効果です。ごしごし洗うことで、摩擦を引き起こし、肌の表面を削ってしまい、バリア機能を低下させてしまいます。肌に必要な皮脂まで洗い流してしまうことで、肌はますます乾燥しやすくなり、炎症や痒みを引き起こします。
クレンジングは保湿効果のあるものを使い、手のひらで優しくなでるように行うのが基本です。洗顔は洗顔フォームをしっかり泡立てて、泡を顔の上で転がすようにして、摩擦が起こらないように注意します。洗い流すときもついついシャワーで流しがちですが、ぬるま湯を手ですくって洗い流すようにしましょう。タオルオフは、こすらず、優しく押し当てて水分を拭きとります。正しい洗顔をするだけでくすみがなくなり、肌のトーンが明るくなります。洗顔後の肌の状態をヒアリングして、突っ張るようなら、強く洗いすぎていることや、正しい洗顔法をアドバイスしてあげましょう。
どんなに洗顔に気を付け保湿をしても、乾燥を助長させるような環境にいては、頑張ったスキンケアもあまり意味がありません。肌は一度乾燥してしまうと、一日二日程度の潤いケアではリセットされません。潤いケアをしたとしても、その状態が保てず、余計に乾燥状態になるという負のループに陥ってしまいます。
負のループに陥らないようにするには、空気を乾燥させないようにすることが大切です。特に、一日ずっと同じ部屋で過ごすことが多い方なら、部屋の温度を一定に保ち、加湿をすることをおすすめしましょう。加湿することで、肌の水分は一定に保たれ、乾燥から肌を守ることができます。外出が多いという方には、携帯用の美容スプレーなどで、こまめに肌に吹きかけ水分補給をするのも効果的です。空気を乾燥させないことや、肌の環境づくりは美容にとってはとても重要なポイントになります。
スキンケアを見直し、紫外線対策をすることは美容にとって大切なことです。しかし、不規則な生活をしていてはいつまでたっても肌の状態は改善されません。カウンセリングでは、お客様の生活リズムについてもしっかりと聞くようにしましょう。
寝不足や、バランスの悪い食事など、ストレスの多い生活をしていると、ホルモンバランスが崩れ、めまいや頭痛、不眠など様々な身体の不調を引き起こす原因となります。このホルモンには、交感神経と副交感神経が深く関わっています。交感神経が活性化すると、体は興奮状態になり、副交感神経が活性化すると、リラックス状態になります。この2つの神経は自律神経と言い、内臓や血管の働きをコントロールし、体内の環境を整える働きをします。この自律神経が乱れ、体調に異常をきたすと、その影響が一番表れやすいのが『肌』です。自律神経が乱れた肌は乾燥しやすく、かさつきやにきびなどの肌荒れを引き起こします。長期的な肌トラブルに悩む方は、まずはこういった基本的な生活リズムが乱れているケースが考えられます。
生活リズムが乱れている場合は、自分の身体を労り、たんぱく質やミネラルの多い食事を心掛け、睡眠をよくとるようにすすめましょう。健康的な生活が、心のゆとりにつながります。体が回復し、自律神経が整うことで肌状態も安定します。また、適度な運動を取り入れると、代謝が促進され、気分もリフレッシュします。生活リズムを取り戻すことが、丈夫で健康な肌には必要不可欠です。カウンセリングでは、体力面で無理をしていないか、心配事や不安なことがないか、多角的に目を向けてみましょう。
今回は、ゆるぎやすい季節の変わり目に起こる『秋枯れ肌』についてお伝えしましたが、いかがだったでしょうか。
夏のダメージや冬に向けての乾燥が気になる時期は、肌荒れや不調を感じやすくなります。季節や環境に合ったスキンケアを提案し、肌状態に合った美容サービスを提供することで、『秋枯れ肌』からお肌を守りましょう。